土鍋の湯気のそばで甲羅のかにみそを指さす手元

カニ鍋で「この黄色いの、英語で何て言うの?」と聞かれて言葉に詰まったことはありませんか。かにみそは脳なのか、tomalley や crab butter とは何か。英語での呼び名と、brain と言ってはいけない理由を順番にほどきます。

「この黄色いの、何?」の次に出てくる言葉

鍋が煮えて、甲羅をぱかっと開けたところで、向かいの席から声がかかります。「ねえ、その黄色いの、何?」。海外から来た友人や同僚は、いつもはおだやかなのに、このときばかりは真剣な目です。

こういう場面、多いですよね。日本語なら「かにみそだよ」のひと言で済むのに、英語になった途端、頭の中が真っ白になる。ここで、みなさんなら何と答えますか。かにみそは、もしかして「脳みそ」だから brain?それとも、味噌だから miso?

まずは、この2つの答えから確かめてみましょう。

ひとつ目の疑問:脳だから “brain” でいいの?

答えは、いいえです。かにみそは、カニの脳ではありません。中腸腺という、食べ物を消化するための器官です。詳しくはかにみその正体にまとめていますが、「みそは脳みそじゃないですよ〜」と言いたくなるほど、日本語でも誤解されやすいところです。

中腸腺は、英語では hepatopancreas(ヘパトパンクリアス)といいます。肝臓を意味する hepato と、膵臓を意味する pancreas が合わさった言葉で、人でいえば肝臓と膵臓のはたらきをあわせ持つような臓器、とされています。

さて、ここまで来ると、次に気になるのは「じゃあ、食べ物としては何と呼ぶの?」ですよね。

ふたつ目の疑問:では、料理の言葉では何と呼ぶ?

ここで登場するのが tomalley(トマリー)です。ロブスターやカニの中腸腺を、料理の言葉で表したものです。カニの場合は、crab butter(カニのバター)や crab fat(カニの脂)、crab mustard(カニのマスタード)といった呼び方もされます。

どれも、色やとろりとした舌ざわりからの連想で名づけられたと考えられます。ちなみに、日本語の「かにみそ」も、味噌に似た見た目からの連想です。国は違っても、人は同じものを見て、似たものにたとえてしまうようです。

呼び名が複数あるのは、地域や人によって使う言葉が少しずつ違うから。迷ったら、まず tomalley と覚えておけば、話は通じやすいはずです。

相手に「どんな味?」と重ねて聞かれたときは、rich(濃厚)や savory(旨味がある)という言葉が役に立ちます。ズワイガニ(松葉ガニ)のかにみそなら、「濃厚で深みのある味わい」と紹介されています。種類名と色を添えるだけで、相手の想像がぐっと具体的になります。

海外ではどう受け止められている?

もうひとつ、友人が気にするのはここかもしれません。「それ、食べて大丈夫なの?」。

海外では、中腸腺を好んで食べる地域もあれば、見慣れないために戸惑う人もいます。注意を呼びかける声もあると聞きますが、その中身は一次資料を確認できていないので、ここでは断定しません(要確認)。大切なのは、押しつけないことです。「ひと口だけ、どう?」と声をかけて、食べるかどうかは相手に決めてもらいましょう。甲殻類アレルギーの有無を聞くことも、忘れずに。

答え合わせ:鍋の席で言うなら、この3文

では、最初の問いに戻ります。「この黄色いの、何?」と聞かれたら、こう答えれば十分です。

  • This is called tomalley.(これはトマリーといいます)
  • It’s not the brain. It’s the crab’s hepatopancreas.(脳ではなく、カニの中腸腺です)
  • It’s rich and savory. Want to try a little?(濃厚で旨味がありますよ。少し食べてみますか?)

brain ではなく tomalley。これが答えでした。もし言葉に詰まっても、甲羅を指さして「the crab’s digestive organ(カニの消化のための器官)」と言えば、意味は十分に伝わります。完璧な英語より、笑顔で「ひと口どう?」と聞けることのほうが、きっと大切です。

次にカニ鍋を囲むときは、かにみその種類もぜひ話題にしてください。かにみその種類を読んでおくと、会話がもう少し広がります。

ご注意 甲殻類アレルギーのある方はお控えください。カニは十分に加熱して食べ、生食は鮮度と衛生に注意してください。栄養や健康に関する記述は一般的な説明で、効果を保証するものではありません。

よくある質問

かにみそは英語で何と言いますか?

料理の言葉では tomalley(トマリー)です。カニでは crab butter などとも呼ばれます。

かにみそは脳ですか?

いいえ。脳ではなく、食べ物を消化するための中腸腺で、英語では hepatopancreas といいます。

かにみそを海外の人に勧めてもいいですか?

海外での受け止め方は地域や人によってさまざまです。無理に勧めず、ひと口だけ試すかどうかを相手に選んでもらい、甲殻類アレルギーの有無も確認しましょう。